おまとめローンは総量規制の対象外になる?
消費者金融などのカードローンから借入を続けると、ある一定の借入金額になった時に新たな借入ができなくなります。それが総量規制です。総量規制とは、貸金業法において、2006年に定められた法律「年収の1/3以上は借入ができなくなる」に基づいています。
では、おまとめローンは総量規制の制約を受けるのでしょうか?今回はおまとめローンと総量規制についてお話しします。
通常のカードローンとおまとめローンの違い
消費者金融より融資を受けるには、貸金業法に基づく借入となります。この貸金業法の2006年の改正により、年収の1/3を超える借入はできないと定められました。
いったいなぜなのでしょうか?
それは消費者金融などで、多額の借入をして返済ができない人(いわゆる貸倒する人)が増加し続け、その事が社会問題にも発展してきたため、この問題を解決するために借入金額を抑える制度として導入されました。
消費者金融に融資申請を行った際、年収証明を見せるのもそのためです。
基本的には年収証明に記載されている総支給額(税金など差し引かれる前)の1/3以下の限度額が定められています。
ですが、ここで一つ疑問が出てきます。
2006年以前にも大勢のカードローンを利用者はいたはずです。その中には既に年収の1/3を超えた借入があった人もいます。その人たちはどうなったのでしょう?
当然ながら新たな借入はできなくなり、生活は一気に苦しくなってしまったのです。また、この総量規制を受けて、消費者金融としても顧客確保が以前と比較して厳しくなったのです。そこで、各消費者金融は次の一手に出ました。それが、銀行と提携した運営です。
代表的なものに、アコムは東京三菱UFJ銀行と、プロミスは三井住友銀行と、そしてレイク、ノーローン(シンキグループの傘下)は新生銀行とそれぞれ提携をしました。
これにより、資本の増強に成功した消費者金融は経営の危機を免れました。
そして、新たな金融商品「おまとめローン」を作ったのです。
おまとめローンは通常のカードローンとは少し異なります。2006年の法改正時に定められた、改正貸金業法施行規則第10条の23第1項 第1号の2(段階的な返済のための借換え)に基づく、総量規制の例外処置が適用された商品です。
この法律は段階的な借入を減らすためのみに適用できる新たな融資方法です。ここで定められているのは、
- 融資額は申請時の借り換え対象となるローン残額の範囲内に限られる
- 返済のみで追加融資はできない
という制約が付いています。つまり、借り換え後返済のみのローン商品になります。
おまとめローンは通常のカードローンとは先に挙げた内容の通り、現在借入のある複数のローン残高合計を上限とし、更には返済のみのローンで新たな融資は受けられなくなるローンとなります。
しっかりと返済を決意しなければ意味がない
おまとめローンに借り換えを検討されている人は、おまとめローンにする事で返済が楽になると考える人も大勢いると思いますが、実はそうではありません。
多重債務に陥った人は、これまでカードローンを使い、借入を行う事が常習的になっている人が多く、金銭面でピンチになった時にはすぐにカードローンを使っていた状況が、おまとめローンにすると一切の融資は受けられなくなります。
生活に少し余裕が欲しいため、現在の借入金額よりも多くの金額融資を希望する事もできません。
さらには、おまとめローンを実施した後、完済したカードローンから再度融資を受けようとしてもそれは不可能です。
なぜなら、おまとめローンを組んだ時点で、完済したカードローン会社にとっては総量規制に引っ掛かってしまい、融資は不可という判断となるからです。
これらの事から、おまとめローンに借り換えをするという事は、今後新たな借入を行わず、しっかりと返済していく決意を持って臨まなければならないという事になります。
これまでお話しした通り、おまとめローンは総量規制の対象外になります。
併せて、通常のカードローンとは違い、返済のみのローンとなり、新たな借入はできないという事をしっかりと認識しておかなければなりません。
生活面、意識面で非常に厳しい事を記載しましたが、逆に言えば、現在の多重債務生活、又は借入の常習を戒めるためには、非常に良い制度であり、確実に返済を行っていけるという点で非常に有効なローンとなります。
現在、この借り換えローンを取り扱っている銀行及び消費者金融は、大手では楽天銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行、イオン銀行、アコム、プロミスなど、実に多くあります。自分にあったおまとめローンを検討し、完済を目指しましょう。