おまとめローンは多重債務の最終手段ではない

よく多重債務に陥った結果、返済が厳しくなったので、最後の手段としておまとめローンに申請しよう。そう考えている人がいます。

しかし、これは間違った考え方です。おまとめローンは多重債務者の救済処置ではありません。今回はおまとめローンはどういったものかという事をお話しします。

おまとめローンはしっかりと返済できる人にしか組めません

おまとめローンを申請する上で、まずはしっかりと認識しておかなければならない事として、

  • 個人の与信状況に全く問題が無い
  • しっかりとした収入があり、これまで滞りなく返済ができている

この2点は必須と言えます。おまとめローンもローンです。一般的にローンは、安定した収入があり、かつ今までに金融事故を起こしていない(与信状況がよい)人に対して行われるものです。

そのため、与信状況が悪い多重債務者や金融事故を起こしたブラックリストに載っている人は、審査はほぼ通らないと言っても過言ではありません。

おまとめローンや大口融資に関してはインターネット上で、様々な金融機関(銀行や消費者金融)が、そのシミュレーションをした場合の参考例が載っています。

しかし、これは状況的に個人の与信状況に問題なく、しっかりした収入があるという大前提があってこそ、このシミュレーションが成り立つという事を覚えておいて下さい。

おまとめローンをしたからと言って元金が減る訳ではない

おまとめローンは、一見すると便利なローンです。あなたがもしおまとめローンを組める人であったとしても、少し冷静に判断する必要があります。なぜなら、おまとめローンをする事で結果的には返済金額の総額が上がる可能性があるからです。具体的に参考例で見てみます。
(参考例)
少し極端な計算方法ですが、仮にあなたがA社とB社、2社から借入をしていると仮定した場合、月々の返済による元金減を無視した利息の計算を行ってみたとします。その場合は1年間で返済するべき金額の総額は次の通りです。

現状の返済金額シミュレーション
業者名 A社 B社 合計
借入総額 500,000 500,000 1,000,000
(元金)
年間利息
(年率)
90,000
(18%)
90,000
(18%)
180,000
(利息)
1年間の合計金額 590,000 590,000 1,180,000
月々の返済額 15,000 15,000 30,000
1ヶ月の返済金額
(元金)
12,300 12,300 24,600
1ヶ月分の利息 2,700 2,700 5,400
完済に要する期間 3年5ヶ月 3年5ヶ月 3年5ヶ月

・現状の返済金額シミュレーション

A社
業者名 A社
借入総額 500,000
年間利息
(年率)
90,000
(18%)
1年間の合計金額 590,000
月々の返済額 15,000
1ヶ月の返済金額
(元金)
12,300
1ヶ月分の利息 2,700
完済に要する期間 3年5ヶ月
B社
業者名 B社
借入総額 500,000
年間利息
(年率)
90,000
(18%)
1年間の合計金額 590,000
月々の返済額 15,000
1ヶ月の返済金額
(元金)
12,300
1ヶ月分の利息 2,700
完済に要する期間 3年5ヶ月
A社+B社
借入総額 1,000,000
(元金)
年間利息
(年率)
180,000
(利息)
1年間の合計金額 1,180,000
月々の返済額 30,000
1ヶ月の返済金額
(元金)
24,600
1ヶ月分の利息 5,400
完済に要する期間 3年5ヶ月

・おまとめローンで返済した場合のシミュレーション

借入総額 1,180,000
年間利息
(年率)
94,400
(8%)
1年間の合計金額 1,274,400
月々の返済額 28,000
1ヶ月の返済金額
(元金)
25,760
1ヶ月分の利息 2,240
完済に要する期間 4年2ヶ月

実際には月々の元金返済に応じ、利息が下がる事になります。よって、あくまで単純計算上の話しですが、上記の例で見てお分かりの様に、おまとめローンをした場合、返済総額が上がる可能性があります。

確かに毎月の返済金額が下がるという利点は頷けます。しかしながら、おまとめローンをした場合と比較した時に、総返済額は118万円から127.5万円になり、約10万円今より返済金額が上がってしまいます。そして、返済期間も長くなります。

この様に、全体を見た場合、おまとめローンをしても金銭的には楽にはなりません。それどころか、返済総額や返済期間が延びてしまい、結果的には苦しい状況は変わらないと言えます。

借入金額が低いうちは、通常の返済とおまとめローンの差額はそんなに大きくはありませんが、おまとめする額が大きければ大きいほど、この差額に開きが生じ、借金が更に増えてしまう結果となってしまうのです。

多重債務者の最終手段は債務整理

多重債務に陥った結果、最終手段として行えるのは、おまとめローンではなく債務整理です。おまとめローンで返済しようとしても、完済するまでに4,5年以上という長い月日が必要になる上、返済金額も上がってしまいます。

もはや、多重債務に陥った場合に、よほど財力のある方でない限りは、自力で何とかしようと考える事は止めましょう。

債務整理という手段を選択し、現在の借入状況を少しでも軽減し、すぐにでも借金返済を行っていく事が一番の良案と言えます。

以上の通り、多重債務に苦しんでいる方は、まずおまとめローンでローンを1本化できれば返済が楽になるという考えは捨てるべきです。

反対に返済総金額は今よりも上がる可能性が高いのです。本当の意味での借金低減にはなりません。

おまとめローンができるのは、金銭的に少しは余裕があり、金融事故もない人が、バラバラになった返済金額や返済日を一元管理で行いたいときくらいなのです。

本気で債務整理をお考えであればそうや法律事務所 新規無料相談などで相談してみると良いでしょう。もちろん相談は無料です。